自立生活サポートセンター・もやい 設立構想(案)

〔舫−もやい−〕船と船をつなぎあわせること。
守り添って共同で事をなすこと。

<主旨>
 長引く景気低迷と産業構造の変動の中、全国各地で野宿者(ホームレス)が急増し、大きな社会問題となっています。全国の野宿者数は厚生労働省発表(99年)で2万人、実数は3万人に達するものと思われますが、その背後には、それに数十倍する日雇労働者・住込み労働者・生活保護受給者・年金生活者・外国人労働者・DV被害者・障害者などの「いつ路上生活に陥っても不思議でない」生活困窮者・不安定就労者群がおり、この「愚かな日本」の貧困問題は、もはや到底看過し得ないまでに深刻化しています。
 事態の深刻さを認識した東京都は今年3月、初めてのホームレス白書「東京のホームレス」を発表し、野宿者問題が「社会経済的要因」に起因することを認めるとともに、自立支援事業を軸とした総合的な路上生活者対策を打ち出しました。今年中にはすでに設置されている二ケ所の自立支援センターに加え、新たに三ケ所のセンター開設が予定されるなど対策のハーード面は徐々に整えられつつあります。
 しかし自立支援センターの入所者の多くが就職時やアパート入居時の保証人問題に直面したり、センター退所後の支援態勢が存在しないなど、対策のソフト面の不備は依然、深刻です。野宿者の多くは、経済的貧困に加え、人間関係の貧困を理由に野宿状態に陥っており、そのことは、貧困問題が経済的問題だけでなく、もっとも厳しい時期に経済的・精神的に自分を支えてくれる人的関係の貧困でもあることを示しています。それゆえ、一度野宿に陥った者が自らの未来を切り開いていくためには、経済的貧困を解消する方途と同時に人的関係の貧困を解消する方途が講じられなければなりません。そして自立支援センターの入・退所者や生活保護の受給者が、今まさにこの問題に直面しているのです。

 私たちは、野宿を経験した者同士、またはいつ野宿状態になってもおかしくない人々をも含めた、貧しいながらも自らの生活を維持・向上していこうと努力している者同士の共済的なつながりを作り、必要な時にニーズに即応したサポートを受けられるシステムを民間べ−スで立ち上げることにしました。そこでは、保証人提供事業とともに、定期的な戸別訪問、生活物資の支援、協同の事業やレクリエーションを軸としながら、貧困問題に携わる多くの諸団体、関心を寄せる多くのボランティアの方々との広汎な社会的ネットワークによって、私たち自身の手で「人的セーフティーネット」を再構築することが目指されています。
 当事者間の支えあいと専門家の的確な助言、広汎な社会的ネットワークを三本柱とするこのプロジェクトに、一人でも多くの方々の参加とご支援をお願いします。

<組織構成>*理事会*事務局:事業部門、財政、会員との連絡等を担当。*互助会:会員(年間1200円)から構成。会費の支払い方法の詳細は別途定める。*アドバイザーグループ:弁護士、医師、社会福祉士らが職能を生かしたサポートをおこなう。*保証人バンク:保証人になってくれる有志が登録。*サポーター会員:資金面でのサポート。会費5000円。*ボランティア会員:訪問活動を担う。訪問活動は、人間関係の基礎となるとともに、諸専門相談、生活物資支援、協同事業やレクリエーションなど諸企画の窓口となる。

すべての会員による総会(年一回)による過半数の決定により、活動方針、および理事、理事長、監査役など人事を決定する。社会的認知を受けるためNPO法人を取得する方向で検討する。

<互助会参加資格>・野宿者・生活保護を利用し野宿生活から「卒業」し、簡易宿泊所、保護施設、病院、アパート、公営住宅などに暮らす元野宿者。自立支援センターなど「路上生活者対策」を利用し、もしくは独力で経済的自立を果たし、アパート、公営住宅などに暮らす元野宿者・年金生活者、および、いつ路上生活者になってもおかしくない、不安定、低賃金な仕事もしくは不安定な住居で生活を営む低所得者など。

<互助会会員の受けられるサボート>・保証人提供事業:就職時やアパート入居時の保証人を「保証人バンク」から提供。連帯保証人については保証料8000円を預かる。・法律相談:弁護士など専門家による借金、不動産賃貸などの相談(低額もしくは無料)・医療相談:医療関係者による心身の悩みに関する無料相談・生活相談:生活保護や公営住宅、介護、年金、税金などに関する無料相談・労働相談:賃金などに関する無料相談・緊急時の生活物資提供、生活・生業資金貸付

<互助会会員間の共済活動>・会報の発行・グループミーティング、各種講習会・安否確認・訪問活動・映画会など文化・娯楽活動・慰安旅行・共同貯蓄・積み立て

<将来的な事業>・職業訓練事業・シェルター(宿泊所)経営事業・グループホーム経営事業など

<財政>事業および共済活動費は会費およびカンパ金によって維持する。
<事務所>当面は共同事務所「スペースかぼすjを利用する。

連絡先:東京都新宿区大京町3新大京マンション304号スペースかぼす気付
TELO3-5367−5666/FAX03-5367−5667 携帯070-5910一0214(稲葉)

こちらの事業計画に関してのお問い合わせは自立支援生活サポートセンター・もやい共同代表 稲葉剛 shinjuku@tokoyohomeless.com までお願いします。

アパートやドヤ、施設などで暮らす仲間たちへ

もう一人で悩まない!仲間と共に安心して暮らしていくために「自立生活サポートセンター・もやい」設立のお知らせ

 生活保護や自立支援事業を利用することで、野宿生活から抜け出ることのできた仲間が増えています。しかし、屋根のあるところに移ったからと言って、すべて問題がなくなるわけではありません。「生活保護を切られそうになった」「仕事をクビになった」「借金の取り立てが来た」などなど‥・生活をおびやかすトラブルはあちこちに潜んでおり、残念ながらそうした「人生の荒波」への対応がうまくいかず、野宿に戻ってしまう仲間もこれまでいました。
 困ったことが起こった時に、何でもすぐに相談できるところがあれば…。「自立生活サポートセンター・もやい」は、そんな仲間の要望にこたえていくために設立されます。これまで路上を「卒業」した仲間への相談活動は、新宿連絡会や渋谷のじれんなど各地の団体がそれぞれつながりのある仲間にだけおこなってきましたが、今後は各地の団体も協力をえながら「もやい」が地域を問わず仲間の相談窓口となっていきます。「自立生活サポートセンター・もやい」では、以下のような活動をおこないます。

*保証人提供:アパートに入る時や仕事につく時に保証人が必要であれ保証人を頼介します。ただし連帯保証人については、保証料8000円を預けていただきます。(分旬払いも可.保証人が必要無くなった時にお返しします。)必要な人にはくわしい資料をお渡しします。
*専門相談:借金問題や仕事・健康の問題など、さまざまなトラブルに対して弁護士や医師といった専門家が相談にのります。また電話相談もおこないます。もやいホットライン:5367-5666(稲葉)
*生活支援:生活に困った時には緊急に米などの生活物資を提供します。

 しかし「もやい」は、一方的に仲間の「世話やき」をする団体ではありません。何よりも路上を脱した仲間同士のつながりを強くしていくことで、「仲間と共にある」という安心感を取り戻し、ひとりひとりの生活を安定したよりよいものにしていきたいと考えています。そのためにも仲間同士で「互助会」を作り、寮を出てアパートに入った後も訪問活動やミーティングをとおして仲間を作り、時にはみんなで遊びに行って親睦を深めたいと思います。

 「もやい(紡)」とは、「船と船を結びつけること。寄り添って共同で事をなすこと」を意味します。「自立生活サポートセンター・もやい」の活動は多くの仲間の協力があって初めて成り立つものです。ぜひ多くの仲間の参加を呼びかけます。

★「もやい互助会設立集会」のお知らせ

 5月19日(土)のもやい互助会設立集会」にぜひ参加してください。
午後1時−4時、大久保地域センター3階会議室Aにて(「新宿・棟の会」で予約しています)

 5月19日(土)に大久保地域センターで「もやい互助会」の設立集会をおこないます。会では、「もやい」の活動について説明をした後、社会福祉士とヘルスワーカーの方から「健康で安心して暮らしていくために」と題した講演が行われます。都合のつく方はぜひ参加してください。

★「もやい互助会の集い」今後の予定

 これまで「新宿・櫟の会」としておこなってきた仲間の交流会を新宿以外の仲間や自立支援センターの仲間にも呼びかけて、「もやい互助会の集い」としておこないます。この集まりでは、生活のことや福祉のことをみんなで話しあっています。気軽に参加してください。

 時間はすべて午後1−4時。場所はすべて大久保地域センターの3階です。
 6月2日(土)会議室C 6月14日(木)調理工作室 6月30日(土)会議室B 7月14日(土)会議室C 7月28日(土)会議室B

自立生活サポートセンター・もやい
連絡先:新宿区大京町3 新大京マンション304号スぺ−スかぽす気付
電話:03-5367−5666