東京でもホームレス法による実態調査が開始され、無事終了しました。

ホームレス自立支援法に基づく「ホームレスの実態に関する全国調査」が東京においてもようやく開始されました。2月2日から 8日までの「路上生活者概数調査」が現在進行中で、個別面接による「生活実態調査」が15日から開始されます。いつも概数と云うのは一人歩きをするのですが、今週行われる「概数調査」の数が、来年度以降の様々な施策の基礎になってしまう事から見ても、とりわけ注目しておく必要があると考えます。東京都の概数調査は、東京都が公園管理事務所や建設事務所や河川事務所、そして駅舎管理者、公共施設管理者などに依頼をして行なうものです。時間も特に指定されず、「昼間」行なって欲しいと依頼するだけのようである。専門の調査員などを雇う訳ではないので、各管理事務所等の職員が職務中に管理下での路上生活者の数(主要にはテント=定住者の数)を数えるだけです。この調査では、公園のベンチで座っているだけの路上生活者がカウントされるのか否かは分かりません。路上生活者であるのかないのかの判断が難しい場合、対応をどのようにしているのかも分かりません。調査主体の東京都でさえ各所から報告の上がった数をただ鵜呑みにするしか他なく、再調査の余地すらもありません。この時期、大田寮には約300人、自立支援センターには約250人が在籍しています。これらの人々の数はもちろん概数調査には入って来ません。昼間働き、夜路上で寝る人の数も入っていません。昼間図書館等で休んでいる人の数も入っていません。もちろん移動中の人も入っていません。路上生活者の概数を把握するのに最も有効な時間帯と云うものを知っておきながら、非定住者が最も把握し難い昼間になぜあえてやるのか、との疑問を私たちは再三指摘してきましたが、この問いに対する回答は何もなく従来の手法で現在調査が進められています。遺憾な事であるが、調査され出てきた数字が一人歩きしないよう、全力を尽くしていきたいと考えています。

2.
 今月上旬の概数調査に続き、15日からホームレス生活実態(個別面接)調査も東京において開始されました。これに先立ち各区とも調査員事務打合わせ会議を実施し、各区が依頼した調査員に対し、調査の進め方、調査員の心得などの説明がなされ、その後約10日程かけ、調査員により担当ブロック内の路上生活者の方の協力を求め、コミュニケーションを図る事前調査がなされ、そして15日からの本調査が開始された所です。事前の段取りがしっかりとしている事もあり、調査が混乱した妨害されたとの事例は報告されておらず、路上生活者の方々も協力的で、順当に調査が行われているようです。新宿区では、社会福祉士会や NPO新宿ホームレス支援機構などの団体に調査員を紹介してもらう事により、ボランティア経験が豊富な対応に馴れた民間の調査員を揃える事ができました。ホームレス自立支援法による民間団体等との連携はこのように既に始まっています。アンケートを受ける側も普段見慣れた顔の方がよほど安心できるのか、スラスラとアンケートに答え、また、行政等への意見なども忌憚のない意見を伝えてくれています。

初の全国統一調査ですし、また、国の基本方針策定の基礎資料となるものなので、どのような結果が出てくるのか注目をしていきたいと思います。