厳冬期宿泊事業が開始されています

 昨年の夏場以降、ガリガリと厳冬期宿泊を無くすな、厳冬期宿泊枠を増やせ、と暇があれば東京都に言い寄っていた効果があったのか、なかったのか、この冬もお陰様で厳冬期宿泊事業が無くなる事もなく、全体枠が少ない中でも昨年度を超える枠(通常25名、年末年始は50名)がようやく確保出来ました。
 何だそれっぽっちかと言うなかれ、トータルすれば175名の仲間が順番であれ、短期間(2週間)であれ、この冬の中、身体を休められる事が出来るのである。
 ちなみに東京にはいろいろ支援団体はあるようだが、こんな応急援護に関しての要求出しているのは連絡会だけである。厳冬期宿泊事業は意味がないと言われて久しい。そんなその場凌ぎの事をやるのなら本来の自立支援事業にした方が良いと言う声も強い。どこかの区の係長さんは学者になった途端に「意味がない」と手のひら返して行政批判をし出すが、応急援護に意味がないと言ったら、炊出しだって意味がないし、衣類の提供だって意味がなくなる。この業界、自立支援の裏側で完全に忘れてしまったのが、人道的な対応であり、応急援護の質であり、応急援護のもつ力である。応急援護は対象者を広く設定できるのが最大の強みである。衣類が欲しい人は衣類だけ。目的別の支援でもある。確かにそれ単体では自立には結びつかない事も多いだろう。リピーターも増えるだろう。けれども、それでも実施し続ける事に応急援護の意味はある。これを自立への入り口にしていこうと云う発想がまるでないから「意味がない」なんて言えるのである。これこそまさに硬直化した一世代前の役所的発想である。
 厳冬期宿泊時の結核検診で結核など重篤な病気が発見され、生活保護に移行した仲間を私たちは多く知っている。限定された人々でなく、数多くの人々に利用してもらったが故の「きっかけ」である。厳冬期宿泊で通常枠の自立支援事業に触れ(何せ、同じ施設なので技能講習事業などのチラシが貼ってあるのである)、次は通常枠利用をし、就労自立した仲間も私たちは多く知っている。
 自立支援事業や生活保護の「入り口」であり「きっかけ」として厳冬期宿泊これまで有効に機能して来たし、おそらくこれからも機能し続ける事だろう。なので、今回の東京都及び特人厚の英断は素直に評価する。
 願わくば、枠をもう少しと言いたいのであるが、これは通常枠とのバランス。お陰で5ヶ所ある緊急一時保護センターは通常枠と合わせ、満員御礼状態。あるものを目一杯使うのは当然であり、危機感をもっている暇があれば、もっと枠を増やせる努力をした方が良いだろう。
 ちななみに、狙った訳ではないものの、東京都の自立支援事業再構築の前提条件=「どの施設も入所率が悪い」は、これにて完全に崩壊。需要はこれだけあるのである。これは不況のせいばかりではない。本質的にあったのである。再構築はやはり、もう一度再構築すべきなのである。
  ちなみに新宿区は厳冬期宿泊となると、需要の程を知っているので、俄然力が入る。年末年始枠では34名枠も確保するなど23区内の枠の争奪戦の中、大奮闘を見せ、路上の仲間から拍手喝采をあびている。この調子でどんどん枠を確保してもらいたいものである。