厳冬期無料宿泊事業が終了しました。  
 06-07年越年越冬における厳冬期無料宿泊事業が、新宿区では3月7日の受付けを最後に14日までですべて終了します。
 93-94年越年越冬期から開始された「冬期臨時宿泊事業」は、緊急一時保護センター開設後に名称が「厳冬期臨時宿泊事業」に変更されても、毎年冬期の間の人道的、臨時的な宿泊事業として実施されてきました。
 「なぎさ寮」から開始され、「さくら寮」が追加され、「さくら寮」閉鎖後は「なぎさ寮」に一本化され、そして緊急一時保護センターが開設されると「大田寮」を中心に各緊急一時保護センターで実施されて来たこの事業ですが、昨年秋、大規模施設「大田寮」が閉鎖され、緊急一時保護センターの全体キャパが大幅に縮小。路上生活者対策史上、最悪の環境の中で行われた今期の厳冬期宿泊事業でしたが、その最大の利用実績を持つ新宿区は、同ブロックの千代田寮以外に荒川寮入寮にも踏み込み、何とかトータル250名前後の宿泊枠を確保し、大きな混乱もなく無事に終了しました。
 

それでも、毎週の入所日には多くの応募者が集まり、全ての回で抽選が実施されると云う、新宿の仲間にとってはあまりありがたくない結果となり、毎回抽選に並ぶも結局入れなかった者を若干ながら生み出してしまいました。
 

他方で新宿区以外で二ケタ以上の者を入所させている区は(1月末の統計で)豊島区のみで、荒川区、墨田区、台東区と、東の路上生活者の多い区の実績はゼロ、また西の方でもかつては大規模に実施していた渋谷区が今年は入寮受付けを実施せず、こちらもゼロと、各区のばらつきがより目立っています。
 

新宿区の周辺区が豊島区以外、ほとんどこの厳冬期宿泊をしっかりと位置づけて実施せず、また巡回相談などで宣伝もしなかった事により、新宿一極に希望者が集中した結果となっています。

 新宿対策のための越冬対策とかつてから言われ続けて来たこの事業ですが、一時は23区対策に膨らみつつ、再び新宿対策に戻りつつあろうとしている中、駅ターミナル層や流動層の臨時対応対策としての意義は、今も何も変っていないと思われます。2週間だけの宿泊のみでは、何の解決にもなっていないとの批判は施策企画者を中心に根強くありますが、他方で冬の間、路上生活者を放置しておいて、その者達の命を守れるのかと云う現場の声もあります。

 本年度から巡回相談事業を実施したところで、ほとんど緊急一時保護センターへの入所率は変りません(第1ブロック以外は)。23区全域で連絡会のようなパトロール、宣伝、福祉付添などの行動をセットで大規模に行ったら大変動が起こると想定していたのですが、結局役所のやる事は、相当の予算をつけたとしても所詮この程度。自らの実施している施策の利用を広く呼びかけると云う基本すら出来ない有様では、いくら自立に向けての計画的な施策を頭で立案したとしても、誰も使ってはくれないでしょう。

  仲間にとって気軽に入れるシェルターは必要なのである。とりわけ冬場においては尚更であります。役所にとっては意味のない事だろうが、当人達にとっての2週間は意味のある期間です。自立に向けた施策と考えるのであれば、そこを出発点とした施策を作り出せば良いだけであり、そう云う発想すらなく、厳冬期宿泊を今後、縮小させるとなれば大きな間違いでしょう。