「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」が2002年8月に施行されてから早10年となります。
 特別措置法として制定された経緯もあり、この法律には付則として「この法律は、この法律の施行の日から起算して十年を経過した日に、その効力を失う。」との文言があります。つまりは、10年間、国及び地方自治体、そして当事者や支援団体のそれぞれの能力を発揮し、自立に向けた支援を継続すれば「ホームレスに関する問題の解決」が計れると想定した法律でした。

 もちろん、この10年が無駄なことではなく、大都市圏で応急援護なり、自立支援センターなり、シェルターなり、巡回相談なりが機能(3条1項)し、仲間の自立の足がかりとなり、またこれらの機能がない中小都市においても「生活保護法による保護の実施」(3条3項)が図られ、また、予防策(3条2項)も旧来の「寄せ場」のみならず、リーマンショック以降の若年層不安定就労者に対する諸施策などが構築され、「施策の目標」はこの間、大きく前進し、骨格が作られて来たのも事実です。
 しかしながら、ホームレスと云う存在は、決して固定した層ではなく、その時々の景気や、社会情勢によって流動化せざるを得ない人々の総称です。今は「ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある」若年単身層が注目されていますが、かつての特定の不幸を背負った中高年の失業問題から、その実態は年々複雑となり、年齢層も若年層から高齢者層まで幅広くなっています。そして、今後この問題がどのように変貌していくのかは、誰も分からないと云うのもまた現実なのです。

 人々の生活は不幸を積み重ねれば、下層へ下層へと堕ちていきます。そして、その過程もまた流動的で捉えられない事が多く、最後にホームレス状態か、その近辺に堕ちて初めて「発覚」するのが常態です。つまり、ホームレス対策は、最後の最後のセーフティネットゾーンにある存在であり、ここを外すと云うのは、社会保障が未だ整備されていない今日において、とても危険な事ともなります。周知の通り、路上生活歴が長ければ長い程、生命の危険が伴います。悪くて「野たれ死」、よくても重篤な病気での救急搬送、身体を休める場所もなく、仕事を探す場所もなくともなれば、社会から排除され、隔離され、まともな社会復帰は夢物語にしかなりません。

 「あなた方は決して社会のつまはじきものではなく、社会の一員なのだ、社会の一員としての自負を持って這い上がろう」と示す指針と施策がこの世界には必要なのです。私たちはそれを「ホームレス自立支援法」に求めました。そして、東京においても大きな成果として結実化しています。その証左として、新宿の仲間達は今は辛い状況にありながらも、自尊心を持ちながら生き生きとしています。「今はいいけど、何かあったときは頼むよ!」と云う若い仲間も大勢います。多くのボランティアや巡回相談の方々が声をかけてくれ、彼、彼女等は決して社会から孤立していません。

 とりわけ都市におけるこの種の問題が「解決」するのは時間がかかるかも知れません。しかし、ホームレスにならなくても良い、ホームレスになったとしてもすぐにそこからの脱却の道が用意されている。そんな社会を決して諦めてはいけないと思います。そしてその目的のためにも「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」は廃止させるべきではなく、延長すべきです。

 この法律は当時、全国の仲間が国会前に何度も行き、超党派の議員に請願をし、また議論を繰り返し、超党派の議員立法で成立させた法律です。ホームレスの自立支援を継続するのに、与党も野党も関係ありません。私たちに理解不能な政治の論理ではなく、まだまだこの国にとって必要な法律であると云う観点にたち、今回もまた超党派の議員による延長を望むものです。

 また、仲間も身体を動かします。他力本願ではなく、自分たちの問題は自分たちで決着させる。そんな思いで、来る3月14日、全国の仲間と共に国会へ赴きます。

 

                                 2012年2月14日

                                             新宿連絡会 事務局

 

ホームレス自立支援法の延長を!3.14国会行動

       ○2012年3月14日(水)

             午後1時 新宿中央公園「水の広場」集合

                     昼飯と小集会後、国会前に移動

             午後2時より国会前での座り込み、情宣活動

             午後3時より衆議院第一議員会館1階多目的ホールで院内集会(全国ネット主催)

             午後5時 終了予定